社会福祉法人ポポロの会 企業主導型保育視察レポート

今回は、社会福祉法人ポポロの会の総合施設長の重野様にお話を伺ってきました。
前半は一問一答形式、後半はその他対談内容という構成になっています。
企業主導型保育を考えられている企業様の参考になれば幸いです。

質問今回、企業主導型保育を始めたきっかけは何ですか?
回答 職員の女性比率は高く、女性の人材の新規採用および就労継続を強化するためです。
女性のための『福利厚生』という位置づけです。
質問正規職員からパートまでいろいろな雇用形態がありますが、保育所の利用が多い職員形態はありますか?
回答 パート職員の利用が多いです。
理由としては、女性が就労継続しやすい環境づくりのために、ライフスタイルに合わせた雇用形態を考慮しているためです。
例:
正規職員→出産→パート職員→子どもが大きくなると→正規職員
質問企業主導型保育の利用は女性職員のみですか?男性職員からの反発などはありましたか?
回答男性職員も利用可能であり、男性職員も取り組みに関して、理解を示しているので反発などはありませんでした。
質問企業主導型保育を始めて感じたメリットは何ですか?
回答 以前、出産予定者が3名おり、人材の確保に関して危機感がありました。
半年間、求人情報を出しても反応なしという状態から、企業主導型保育を始めて、ハローワークに求人情報を載せるとすぐに3名応募がありました。

想定外のメリットとして、福祉施設内に保育所もあるため子どもが施設内を行き来することもあり、
生活環境に小さな子どもがいることで施設内の空気も良くなり、笑顔が増えました。
スタッフおよび施設利用者からも評判は良いです。
また放課後デイサービスもやっているが、施設全体で保育士の応募が増えました。
質問企業主導型保育の開始にあたってハードルはありましたか?
回答すでに福祉施設で栄養士、調理師、看護師、保育士がいたので、保育所を新たに作ることにはそこまでハードルはありませんでした。
質問利用定員は何名ですか?また現状の利用枠の割合は?
回答保育定員は9名だが、7名が職員枠、1名が地域枠で埋まり、8名が利用されている。
質問世間では保育士不足と言われているが保育士の確保は大変でしたか?
回答施設内で放課後デイサービスも行っており、既存の保育士の配置転換で対応できたこともあり、大変ではなかったです。
質問設置方法や運営方法の選考についてどう考えたのでしょうか?
回答福祉施設をやっていることもあり、設置方法は自社設置、運営方法も自社運営と自然に考えた。
質問ポポロの会の今後の展望は?
回答八尾市は160名ほどの待機児童がいるようで、地域貢献も考え、定員を拡大していきたい思いもあります。

その他、対談内容は下記の通りです。

「人は宝」です。
経営的視点でも人材は大切。人材が安定すれば、人が育ち、専門性も高まり、利用者様に提供するサービスの質も向上して、みんなが喜ぶ。
しかし、人が安定せず、離職率が高いと人が育たず、サービスの質も低下し、人材を育成する人も育たない。
人が安定しなければ、このような悪い循環が生まれる。
恒常的に人材確保や就労継続で課題があると、人を育てる仕組みも作れず、悪い循環が生まれる。

「ロイヤリティ」が大切です。
人が安定しなければ、事業の展望の見えなくなるので、経営的視点でも就労継続は大切です。
総合施設長は、「ロイヤリティ」という言葉を使用していたが、意味的にはエンゲージメント・帰属意識と同義です。

月一、バンビママの会を総合施設長自ら号令をかけ開催している。
保育所に関する要望など和気あいあいと話す場を支援している。

また授乳や午睡の寝かしつけは、勤務時間中でも母親が自由にできるとのこと。

元々、施設内に看護師が居ているため、病児保育も実施でき母親も安心して働くことができている。
何かあればすぐに子どもの元に駆けつけることができるので母親も安心している。

企業によっては利用対象者が勤務者とあるところもあるようではあるが、
ポポロの会では仕事が休みの日でも、保育所を利用することができる。

【視察を終えての所感】

総合施設長は経営視点と職員を大切する心を見事に両立なさっているという印象を受けました。
職員の生活を支えるためにも事業の継続性も考え、職員の生活や施設利用者のことも考え、見事に「三方よし」を体現されている。
より良い人材が集まる求心力はエンゲージメントにあるなと個人的に思いました。
もちろん、やり方次第ですが、人材確保や就労継続の課題解決、エンゲージメントの向上に企業主導型保育は一つの手段になると思います。

ポポロの会

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