問題が解決し、自己効力感も上がる「セルフ・アザー法」とは?
自分自身が成功体験をしなくても、誰かの体験を見たり、話を聴いたりすることで自己効力感が高まります。
職場の上司や先輩の姿を見て学ぶとか、成功者の著書や偉人の伝記を読むのも効果があります。
今回は、第三者の体験や意見などを取り入れる具体的な方法として「セルフ・アザー法」について解説します。
・第三者が自分の悩みを解決してくれる!?
心理学者のグロスマンが、こんな実験を行いました。
実験協力者を2つのグループにわけて、人間関係に関する問題の解決法を考えます。
1つ目のグループは、自分に起きた問題の解決法をいつも通りに考えます。
2つ目のグループは、自分に起きた問題の解決法を別の人が考えるところを想像します。
実験後に感想を集めたところ、2つ目のグループのほうが冷静に判断でき、さまざまな解決法を思いついたことがわかりました。
・「セルフ・アザー法」の具体的な活用法とは?
自分とは別の人物が問題の解決法を出すところをイメージする手法を、「セルフ・アザー法」といいます。
それでは、具体的な実践法を解説します。
《例題》あなた(Aさん)は、後輩のBさんに仕事を頼みました。ところが、Bさんが期限を守らなかったため、あなたはBさんを強い口調で注意しました。それ以来、Bさんはあなたに会ってもビクビクしている様子で、必要最小限の会話しかしません。
Bさんとの関係を良くするためには、どうすればいいでしょうか?
1つ目のグループは、全員がAさんになったつもりで解決策を考えます。自分から話しかける、笑顔で挨拶をする、上司に間を取り持ってもらうなど。
2つ目のグループでは、架空の人物(Cさん)が登場します。AさんがCさんに悩みを相談したところ、「Bさんをランチに誘って、ふたりでゆっくり話す機会を持てば?」というようにアドバイスをします。
・「この人だったらこう考える」と想像する意味とは?
第三者目線を取り入れることにより、自分で考えるよりも冷静で客観的に問題をとらえられます。
周りの人から相談を受けたら、「こうすればいいんじゃない?」と解決策がすぐに思い浮かびますよね。ところが、自分の問題の場合は「できるかどうか」を考えてしまい、解決策が出にくくなります。
登場させるCさんはどんな人でも構いません。たとえば、上司や友達などの知っている人、道ですれ違う人やよく行くお店のスタッフ、歴史上の人物など。
「あの人だったら、どんなアドバイスをするだろう?」と想像し、解決策をいくつも出します。楽しみながらイメージしてみましょう。
そうしているうちに、「この問題を解決できそうだ!」と思えるようになり、自己効力感が高まりますよ!