レジリエンスを高める「適応的思考」の作り方

ストレスを跳ね返す力を「レジリエンス」といいます。

レジリエンスは、ただストレスに耐えるのではなく、柳のようにしなやかに問題や自分自身と向き合う力です。

以前の記事で紹介したコラム法(認知再構成法)に出てきた「適応的思考」は、しなやかに考え、次の行動につなげるためのものです。

それでは、適応的思考はどうすれば身につくのでしょうか?

今回は、適応的思考への切り替え方についてお伝えします。

・ケースから適応的思考を作ってみよう

(例)仕事の悩みが原因で抑うつ状態にある人

職場で異動があった。前の部署では任された仕事をこなし、褒められることもあった。

だけど、新しい部署では今までよりも高いレベルを求められ、上司から叱られてばかり。

先輩や後輩から、「仕事ができない」と思われていて、親しくなれない。

能力がなくて、周りに迷惑をかけてばかりだから、会社に行くのがつらい・・・・・・。


この人は、「会社に行くのがつらい」と感じています。

まずは、つらいと感じる根拠(事実)を見つけ、反証します。

・根拠と反証を使って適応的思考を導き出す

《根拠1》先輩や後輩から、「仕事ができない」と思われていて、親しくなれない。

《反証》「仕事ができない」と直接言われましたか? 

親しくなろうとしない具体的な態度はありましたか?
(話しかけても無視されるなど)


《根拠2》能力がない

《反証》前の部署では褒められることもあったのだから、能力はあるのでは?

今はまだ、新しい仕事内容に慣れていないだけではないですか?


根拠と反証を書き出したら、次に「しかし」で2つの文章をつなげて適応的思考を作っていきます。

・適応的思考の作り方と注意点

1. 新しい部署で先輩や後輩と親しくなれない。しかし、「仕事ができない」と言われたわけではないし、先輩は質問をすれば答えてくれる。

《適応的思考》嫌われているわけではないのだから、仕事の悩みや相談を隣の席の先輩にしてみよう!


2. わたしには能力がない。しかし、前の部署では褒められることもあった。

求められるレベルが高くなったから叱られることも多いけれど、慣れてくればミスがなくなるかもしれない。

《適当的思考》今は仕事に慣れるのが一番だから、ひとつひとつの仕事に丁寧に取り組もう。


根拠と反証を「しかし」でつなげることで前向きに考えられ、次の行動をイメージできるようになります。これが適応的思考です。


このときに気をつけたいのが、根拠と反証の順番を逆にしないことです。

「前の部署では褒められることもあったが、今は能力がない」と考えると、自信を失い、悲観的に考えてしまうからです。

適応的思考に正解・不正解はありません。しなやかな発想がレジリエンスを高めるので、さまざまな角度から根拠を反証し、新しい行動をいくつも書き出すのがおすすめです。

レジリエンス

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