部下の能力を引き出す褒め方とは?
部下や同じチームのメンバーの士気を上げようと、褒めることがありますよね。
ですが、部下の褒め方に悩んでいる人も多いでしょう。
褒めなければ、仕事に自信が持てないのではないか?
だけど、褒め過ぎると努力しなくなるのではないか?
そんな風に考えて、なかなか褒め言葉が出てこないということもあるのではないでしょうか。
今回は、部下が前向きに仕事に取り組み、実力を発揮できる褒め方についてお伝えします!
・褒めるのは、「能力」? それとも、「努力」?
10代の男女を対象とした、こんな実験があります。
被験者に非言語式知能検査の難しい問題を10問出しました。
被験者を2つのグループにわけ、1つ目のグループには、「8問も正解して、すごい! 頭がいいですね」と褒めました。
一方、2つ目のグループは、「8問も正解してすごい! 頑張ったんですね」と言葉をかけました。
グループわけをした時点では、どちらのグループも成績は同じでした。
ところが、褒められた後は、1つ目のグループは新しい問題に挑戦せず、自分が解ける問題を選ぶようになりました。
それに対して、2つ目のグループは、どんどん新しい問題に挑戦しようとしたのです。
・なぜ、「能力」を褒めると成長が止まるのか?
しばらくして、2つのグループに難しい問題を出したところ、1つ目のグループは意欲を失い、2つ目のグループは楽しんで取り組むという結果になりました。
なぜ、このような違いが生まれたのでしょうか?
1つ目のグループは、「頭がいい」という褒め言葉をもらったために、「頭がいい状態をキープしなければ」とか、「頭がいいと思われたい」と考えるようになったのです。
その結果、「頭がいい」ことを証明するために、正解できる問題を選び、解けない恐れがある問題には手を出さなくなりました。
2つ目のグループは、頑張ったことを褒められたために、「頑張ればできる」と思うようになりました。
だからこそ、新しい問題を解けるように努力して、「頑張ったからできた」という証明をしようとしたのです。
・過去から現在までのプロセスに目を向ける
この実験からわかるのは、「能力を褒めると能力が伸びなくなる」ということです。
また、もともと知能が高いとか、コミュニケーション能力があるといった、「素質」や「能力」を持っていなくても、努力次第でそれらを伸ばせるともいえます。
部下やチームメンバーの能力を伸ばすためには、結果だけでなく、その人が行った努力やプロセスに目を向けることが肝心です。
成果が上げられたときも、「運が良かった」や「得意分野だった」で片づけるのではなく、その人がとった行動、考え、努力について、ひとつひとつ検証するといいでしょう。
それらを本人にまとめさせ、チームで共有するのがおすすめです。
すると、「こんな風に頑張ったからうまくいったんだ」とその人自身が確認できるので、自分の仕事に自信が持てるようになりますよ。