誠実な人材を育てる会話術
新入社員の研修が終わり、すでに商談デビューをしたという人もいるのではないでしょうか?
営業職に限らず、仕事は経験で覚えるもの。
ですが、最初に失敗すると挽回するのが難しいですよね。
今回は、新入社員や後輩を「誠実な人材」に育てる方法をお伝えします。
・新規の取引のチャンス! 誠実な人の対応とは?
あなたは新規開拓をしようと飛び込み営業をしました。
訪問先にはライバル会社に発注を考えていた案件があり、「これくらいの予算なら発注したい」と言われました。
ところが、その予算では利益が出そうにありません。
こんなとき、あなたはどのように答えますか?
A.利益が出なくても新規の取引をしたいから、「その予算で発注してください!」
B.新規案件だけど正直に伝えよう! 「その予算でお請けするのは難しいです。しかし、ぜひ取引をしたいので、なんとかします!」
C.自社に利益がない取引は必要なし! 「その予算では難しいので、機会があればよろしくお願いします」
・正直に伝えたときの心理的な効果とは?
いかがでしょうか?
業界の常識や会社の方針、個人の営業スタイル、長い目で見たときの戦略などによって答えが異なるので、正解はひとつではありません。
ですから、今回は心理学の観点から、誠実さを感じる答えについて解説したいと思います。
誠実さを感じるのは、「B」の答えです。
「C」の場合は取引が成立しないので置いておき、「A」と「B」を比べてみましょう。
「A」はすぐに良い返事をしているのに対して、「B」はいったん断った後で、「なんとか取引できるようにする」という返事をしています。
実は、「A」よりも「B」の答えのほうが、相手にとっての好感度が高くなることが心理実験でわかっています。
その理由は、一度断られることで相手はガッカリしますが、「あなたの頼みだから頑張ってみる」と言われて、落胆が期待に変わるからです。
これを、「ゲイン-ロス効果」と心理学では呼んでいます。
・新人だけじゃない! 即答を避けたほうがいい理由
それから、「A」の場合は、「利益が出ないのはマズイ」と会社に言われ、価格交渉をするということも・・・・・・。
最初に期待させておいて、あとでその期待を裏切ってしまうので、信用を落としかねません。
この心理からわかるのは、正直に伝えれば好感度も信用度も上がるということです。
ただし、商談のたびにテクニックとして使うと、「最初からできると言えばいいのに」と思われてしまうので注意を。
クライアントから信頼される誠実な接し方が、新たな仕事につながりますよ。